中期経営計画株主・投資家情報

クラボウグループの新中期経営計画「Progress’24」について

クラボウグループは、このたび、2024年度を目標年度とする3ヵ年の新中期経営計画「Progress’24」を策定し、2022年4月からスタートしました。

1. 基本方針

「Progress’24」は、イノベーションと高収益を生み出す強い企業グループを目指したクラボウグループ「長期ビジョン2030」の第2ステージに位置し、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより進捗が遅れた計画を成長軌道に戻す重要な位置付けとなります。

「Progress’24」では、「高収益事業の拡大と持続可能な成長に向けた基盤事業の強化」を基本方針とし、成長市場における注力事業へ経営資源を集中するとともに、基盤事業の収益力強化に取り組み、変化の激しい経営環境にあっても、持続的に企業価値を高めていくための最適な事業ポートフォリオを構築してまいります。また、グループガバナンスを強化するとともに、社会課題の解決に取り組むなどサステナビリティを意識した経営を進めてまいります。

長期ビジョン2030

2. 重点施策

(1)成長・注力事業の業容拡大と基盤事業の収益力強化
当社グループの事業ポートフォリオの基本方針に則り、半導体製造関連、機能フィルム、自動化・制御機器、機能素材などの注力事業に経営資源を集中することにより業容の拡大を図るとともに、繊維事業や軟質ウレタン事業などの基盤事業では、生産現場におけるデジタル化やQR対応の強化などにより、生産効率向上やコスト削減を進めることで安定収益を確保します。
クラボウグループの事業ポートフォリオ
(2)R&D活動の強化による新規事業創出と早期収益化
技術研究所やテキスタイルイノベーションセンターを中心に、FA・ロボット制御、半導体製造関連、機能素材、遺伝子抽出・解析に重点を置いた研究開発活動を推進し、新規事業の創出と早期収益化を図ります。
(3)SDGs達成への貢献
当社は創業以来、労働環境の改善や地域社会の発展へ貢献してまいりましたが、メーカーとしての責任を果たすものとして、目標9の「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標11の「住み続けられるまちづくりを」および目標12の「つくる責任 つかう責任」を最重要課題と捉え、その目標達成に注力してまいります。
(4)多様な人材の活躍推進
当社グループでは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンやフレックスタイム・テレワーク制度などの柔軟な働き方の推進により、多様な人材が個々の能力を最大限に発揮し、自律的に業務を進めることのできる企業風土づくりに努めてまいりました。今後はさらに、企業価値を持続的に向上させる事業変革力を持った社員を育成するとともに、社員が組織に主体的に貢献する「エンゲージメントの高い組織」の構築を目指してまいります。

3. 数値目標

(1)連結業績目標および経営指標

2021年度 2024年度
売上高 1,322億円 1,600億円
営業利益 75億円 96億円
経常利益 87億円 102億円
親会社株主に帰属する
当期純利益
56億円 72億円
重要な経営指標(2024年度)
売上高営業利益率 6.0%
ROE(自己資本純利益率) 7.0%
ROA(総資産営業利益率) 5.3%
ROIC(投下資本利益率) 5.6%

(2)事業セグメント別業績目標

2021年度 2024年度 比較
繊維事業 売上高 446億円 540億円 +93億円
営業利益 ▲1億円 8億円 +9億円
化成品事業 売上高 516億円 630億円 +113億円
営業利益 29億円 39億円 +9億円
環境メカトロニクス事業 売上高 235億円 290億円 +54億円
営業利益 27億円 30億円 +2億円
食品・サービス事業 売上高 84億円 103億円 +18億円
営業利益 2億円 7億円 +4億円
不動産事業 売上高 37億円 37億円 ▲0億円
営業利益 27億円 23億円 ▲4億円
消去又は全社(*) 営業利益 ▲10億円 ▲11億円 ▲0億円
合計 売上高 1,322億円 1,600億円 +277億円
営業利益 75億円 96億円 +20億円

(*)「消去又は全社」の内訳は、主に各セグメントに帰属しない研究開発費です。

(3)各事業セグメントの重点施策

繊維事業
・独自技術を活用した高機能素材やサステナブル素材の販売拡大
・サプライチェーン全体を意識したQR対応と生産性向上
化成品事業
・半導体やエネルギー関連市場における注力事業への経営資源集中
・軟質ウレタンや住宅用建材など基盤事業の生産体制の効率化と新規ビジネスの拡大
環境メカトロニクス事業
・商品力強化による競争優位性の獲得と海外市場への拡販
・社会課題の解決に貢献する商品群の市場投入
食品・サービス事業
・食品事業:顧客視点でのフリーズドライ新商品の開発と拡販
・ホテル事業:大規模リニューアルを実施した宿泊施設の稼働率アップと地域社会への貢献
不動産事業
・賃貸用不動産の再開発と早期収益化

4. 投資および資本政策の基本方針

中長期的視点で成長可能性の高い分野や、DXを推進する上で基盤となるITインフラ、カーボンニュートラル達成に向けた環境投資へ経営資源を投入し、収益力の向上に努めてまいります。
経営資源の投入にあたっては、M&A や設備投資、研究開発、知的財産、人材への投資など、積極的かつ継続的に実施いたします。

設備投資(3期累計)

成長・注力事業 65億円
環境投資 24億円
IT投資 24億円
維持更新ほか 69億円
合計 182億円
減価償却費 175億円

研究開発費(3期累計)

FA・ロボット 13億円
半導体製造関連 12億円
遺伝子抽出・解析 5億円
機能素材 29億円
その他 1億円
合計 62億円

知的財産につきましては、IPランドスケープ活動等を通して、R&Dや事業活動で創出される価値(技術、ノウハウ、ブランド等)を解析・評価・選別し、権利化 ・活用することで成長・注力事業の競争優位性に結びつけ、業容の拡大に繋げてまいります。

また、株主への配当が企業の最重要課題の一つであるとの認識の下、安定的かつ継続的な利益還元を基本といたしますが、その他株主還元策として自己株式の取得も併せて検討し、「Progress’24」期間における総還元性向の目標値を50%以上と設定し運用することで、株主還元の充実を図ります。

5. サステナビリティに関する基本方針

当社グループでは、持続可能な社会の実現に貢献するためには、企業自らが持続的な企業価値の向上を目指さなければならないと考えており、付加価値の高い技術や商品・サービスを創出し、高収益事業を育成・拡大するとともに、当社グループの経営理念である「私たちクラボウグループは、新しい価値の創造を通じてより良い未来社会づくりに貢献します。」のもと、以下の実践に努めます。

  1. (1)事業を通じた社会課題解決への貢献
  2. (2)地球環境の保全を意識した事業活動の推進
  3. (3)人権の尊重および、働きやすさとやりがいのある職場環境の整備
  4. (4)信頼される企業づくりの推進

なお、気候変動に関するTCFD等の考え方や開示については、「Progress’24」の期間中に検討してまいります。