子どもの頃は、親の転勤で様々な土地で暮らしましたが、その都度、持ち前の好奇心を発揮してバレーボール、卓球、少林寺拳法といったスポーツなどを通じて色々な人と関わりました。学生時代は社会人になったらできない社会体験をしようと思い、塾講師、パスタ屋、イベントスタッフ等々たくさんのアルバイトを経験。知らない世界を見て視野を広げたかったので、その収入で世界中を旅しました。また女子大の生物学科で学び、女性でも特別扱いされないのが当たり前だったこともあり、社会に出てから、世の中の性別による仕事観の違いなども人一倍感じていたのかもしれません。
ダイバーシティの考え方が世界のスタンダードになり、日本でも導入する企業が増えています。クラボウでは、多様性を受け入れるだけでなく、異なる個性を尊重し活かし合うことで新たな価値を生み出す「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」を重要な経営方針の一つと位置づけ、具体的な取り組みをはじめています。ダイバーシティは多様性、インクルージョンは受容を意味します。ひとりひとりの多様な個性を互いに認め合うことで、すべての社員がその能力を最大限発揮できるようにする考え方です。
多様な人材の採用や、すべての社員が活躍できる制度づくりに努める一方で、私たちはD&Iの最も大きな妨げとなっているのは「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」であるという専門家の研究に注目。たとえば「子育て中の女性に長期出張は無理だろう」といった思い込みです。そこで育休から復帰した私は、アンコンシャス・バイアスを無くすための啓発冊子を企画、全社員に配布し、役員や管理職に研修を行いました。
D&Iに関する意識改革は当社でもまだまだ必要であり、やっていて難しさを感じることもあります。しかし、多様な個性を活かすことが新しい企業価値につながると信じて日々取り組んでいます。私自身、子育てをしながらこんな重要な仕事を任され、他の社員と同じように働けているのはD&Iが進みつつあるというひとつの証明です。娘が大人になったときに、性別などの属性や価値観によって選択肢が狭められず、誰もが能力を活かせる世の中になって欲しいので、まずは私たちクラボウから変わっていけたらいいな、と思います。
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