面白いことやってやろう。繊維でウイルスから社会を守るクラボウ。繊維事業部 徳島工場 加工技術課 森本将弘
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先駆的に取り組んできた抗菌・抗ウイルス技術「クレンゼ」に今 大きな期待が

ウイルスや細菌による感染症の流行は、社会的に大きな混乱を招きます。クラボウでは10年以上前から、繊維に抗菌・抗ウイルス機能を持たせる加工技術「クレンゼ」に取り組み、医療現場で使用される製品を中心に実績を重ねてきました。
その「クレンゼ」に、2020年春以降、さまざまな分野からの問い合わせが急増しています。マスク用ガーゼなどの衛生関係をはじめ、ポロシャツやコート、スーツの裏地といった一般衣料へも広がってきており、当社もクレンゼ加工したタオルやトートバックなどの開発・販売を開始しました。私は一年半前から、現在の部署でクレンゼなどの特殊加工の仕上げ工程を調整・管理する仕事を担当。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が、抗ウイルス素材への関心とニーズを高めていることを実感しています。

優れた抗ウイルス性能を十分に引き出すために品質管理に徹底してこだわる

クレンゼは、口腔内の洗浄などに使われる薬剤をベースにした抗菌成分「Etak®/イータック」を繊維表面に固定化するクラボウ独自の技術です。繊維上の特定のウイルスを99%以上減少させ、家庭での洗濯を50回繰り返しても効果が持続することを確認しています。
クレンゼは、薬剤を分子レベルで繊維に強固に結合させることで、高い耐久性を発揮します。その分、素材に応じた加工温度や時間等の細やかな条件設定が重要です。クラボウには10年以上蓄積してきた処方データがありますが、次々にリクエストされる新しい素材に対し、最適な処方を見つけ出すことは難しくもあり、やりがいも感じます。
抗菌・抗ウイルスという目に見えない機能だからこそ、品質検査を徹底し、安全性を担保する必要があると考え、同じ製品でも、生産時期が異なるロットは全て検査を行います。クラボウ独自の検査体制を構築することでスピーディな対応を可能にし、「今すぐ使いたい」というニーズにお応えしています。

人の触れるすべてのものにクレンゼ加工を施して、安心して暮らせる社会に

現在の目標は、あらゆる繊維への最適なクレンゼ加工法を確立し、衣服から雑貨・インテリア製品まで、身の回りのすべての繊維製品を抗菌・抗ウイルス仕様にすることです。将来的には、繊維以外にもクレンゼが応用できるのでは、と思っています。実際、自動車用塗料などの素材にもクレンゼ加工ができないか、という驚くような問い合わせも数多く寄せられています。
クラボウは、これまでもクレンゼを使って学校などのインフルエンザの感染防止を目指す「フルゼロ活動」を推進してきました。私自身も、社内の「フルゼロ活動」にリーダーとして関わってきた経験から、単に製品をつくるだけでなく、正しい知識を広めることでも社会に安心・安全をお届けしたいと考えています。