羽毛布団やダウンジャケットなど、羽毛を使った製品は軽くて暖かく、世界中で使用されています。ところが、天然由来の羽毛は、ガチョウやアヒルなどの水鳥から採取される限りある資源なので、供給量が不安定になりがちです。さらに、近年では動物愛護の観点から、天然羽毛を使わない製品を求める声も高まってきました。
そこでクラボウは、天然羽毛に替わるサステナブルな素材の開発に着手し、エアーフレイクが誕生しました。
100%再生ポリエステルを原料とし、バイオミメティクス(生体模倣)という先端技術を応用して天然羽毛の形状を再現した、クラボウの独自技術です。
改良を重ねた結果、羽毛の膨らみと弾力性を表すフィルパワー(FP)という指標において「FP850」を達成。これは、最高級羽毛に匹敵する高い性能です。再生素材のみで作られ、動物由来の原料に頼ることのない、サステナブルな「次世代の羽毛」になりうると考えています。
私は2年前からエアーフレイクの営業を担当しています。唯一無二の形状で高いフィルパワーを持ち、再生素材100%を使った製品なので、この製品は絶対売れるという確信がありました。とくに、サステナビリティやアニマルフリーといった問題意識の高い欧米では、必ず支持されると考えて積極的な海外営業を試みようとしたその矢先、コロナ禍に見舞われたのです。
日本から一歩も出ることができず、営業はリモートになりました。モニター越しではエアーフレイクの細かい特徴はよく伝わらず、ときには即興で紙芝居のようなものを描いたことも。エアーフレイクの最大の特長は素材の感触。「実物さえ見て、さわってもらえば良さが解るのに」と歯がゆい思いをしていました。
そのような状況下で、商品開発にいっそう貢献できるようにと、エアーフレイクの機能向上に注力。そして誕生したのがエアーフレイク「FP(フィルパワー)850」です。お客様に紹介すると、「Incredible!」つまり「羽毛を使わずに高級羽毛に匹敵する膨らみや弾力が出せるなんて!」と、モニター越しにも驚きが伝わってきました。
アニマルフリーでありながら、天然羽毛レベルの高いフィルパワーは海外でも反響を呼び、制約の多いリモート営業の大きな力となりました。
高級羽毛に匹敵する軽さや膨らみ、弾力性を生かして、エアーフレイクは現在さまざまなブランドのアウターや高機能なスポーツウエアへと用途が広がっています。
また、アパレル製品だけでなく、掛布団や枕などの寝具でも羽毛に替わる中綿として採用されています。洗濯機で丸洗いができて速乾性があり、何度洗っても弾力や膨らみが落ちにくい、といった天然羽毛にない特長も相まって、市場で高く評価されています。今後さらに機能性を向上していくことで、医療や建材など幅広い分野で社会に貢献できる可能性を秘めていると思います。
将来的には、原料を生分解性素材に変えていくなどの工夫でサステナビリティを一層高め、あらゆる羽毛に置き換えられることを目指し、水鳥と地球にやさしく人に暖かい「羽毛のいらない世界」を実現したいですね。
日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイなどでシリーズ展開中
エピソード1
アニマルフリーな羽毛で
心まで暖めるクラボウ
エピソード2
3Dプリンターで
街づくりを変えるクラボウ
エピソード3
畜産の持続可能性を
切り拓くクラボウ
エピソード4
半導体の品質をセンシング
技術で支えるクラボウ
エピソード1
ロボットの「できない」を
可能にするクラボウ
エピソード2
繊維でウイルスから
社会を守るクラボウ
エピソード3
フィルターで空気と社会を
変えるクラボウ
エピソード4
iPS細胞で健康寿命を
支えるクラボウ
持続可能な開発目標(SDGs)に対するクラボウの姿勢と、関わりの深い事業活動を紹介します。
身近な暮らしの中で使用されているクラボウ製品をご覧いただけます。
クラボウグループの挑戦の歴史やその原点、これからの未来に向けた取組みをご紹介。
当社の事業と人材採用・人材育成に対する考え方を紹介。募集要項やWEBエントリーの窓口も。