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インクジェットプリンタ捺染への応用 |
【B】テキスタイル及び広告業界におけるデジタル製版 |
■ダイレクト製版のメリットと課題
『製版従来工程との比較』
製版のデジタル化によりトレースおよびフィルム作成の工数が大幅に削減される。ダイレクト製販では、1時間あたりの露光処理枚数は、従来方式に比べ30~67%と劣るが、フィルムの前準備や密着焼付けの工程が完全に不要となる上、フィルムに起因するピンホールなどの修整作業が削減されるため従来1~2週間かかっていた焼き付け・仕上げの工程は、1~2日と大幅に短縮される。
【製版従来工程との比較】 |
従来工程
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ダイレクト製版
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『ダイレクト製版のメリット』
製版工程のショートカットにより納期短縮が可能となり、得意先の在庫リスクの低減や営業チャンスの増大が図られる。また、スクリーンの追加作成も即時対応可能となるため現場生産機停滞のロスを削減できる。フィルムに起因するピンホールは99.5%削減し手修整の工数をかけずに高品質の製版が可能となる。また、細線や高品質な網点を再現できるため、幾何柄、写真調、多重色グラデーションなどデジタル独自の柄展開も積極的に取り組まれ、高細密度捺染対応や細線柄・写真調などの意匠性の高いデザインが注目されている。
カッティングシートやフィルムを100%削減し材料費が不要となるばかりでなく、フィルムの張り合わせや焼き付けの手間から開放され熟練技術者労務費のコスト削減に貢献する。導入ユーザーの数社は、女性オペレータがトレース処理と兼務でインクジェット(ダイレクト)製版の出力と露光作業をこなしている。1人のオペレータが2台3台の装置を稼動することも可能で、操作の習熟はPCの初心者で2週間程度である。
フィルムや型を管理するスペースが不要となり、カッティングシートやフィルムなどの廃棄物も出さないクリーンな環境を提供する。フィルムのズレや伸びが無く位置合わせが常に正確で捺染における型換え作業時間が短縮され捺染現場の生産性が改善されている
【フィルム製版とダイレクト製版の比較】 |
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フィルム製版 |
ダイレクト製版 |
型の保存 |
大量に保存 |
都度出力も取れる |
1時間あたりの処理枚数 |
6~10 |
3~4 |
1時間あたりの作業員の関与の割合 |
熟練工が100% |
非熟練工が10% |
100枚あたりのピンホールや修正の発生の割合 |
100% |
1% |
操作の習熟 |
3-5年 |
2週間 |
24時間の稼動 |
困難(熟練工が2-3交代) |
可能(非熟練工が2-3交代) |
メンテナンス費用 |
安い |
高い |
環境対策 |
フィルム発生 |
フィルムレス |
捺染現場の作業性 |
型合わせ工数大 |
型合わせ容易 |
再彫刻リピート性 |
型合わせ経験必要 |
型合わせ良好 |
フィルムの管理 |
検索工数大 |
デジタル管理 |
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『ダイレクト製版の課題』
ダイレクト製版システムは大型かつ高価であり、デザインCADなどの新たな導入を必要としており、熟練工の再配置を含め、製造工程の大幅な見直しとオペレーションの変更が求められる。これらの変更に起因して製造設備の休止、工場の増改築など導入を敬遠する要素も多数指摘されている。また、外注トレーサー、トレース工場とのビジネススキームの見直しはさらに多くの負担を社内外に求めるものであり、導入を躊躇させる一因となっている。
【QR化された捺染業界】 |
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