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三次元写真計測の応用事例 |
平成13年3月12日(月)、熊本県球磨郡にて、国土交通省 災害即応システムの計測装置としての適応性評価を行った。現場では計測・分析を行い、作業性と計測精度を調査した。評価の対象機器として、レーザースキャナ、ノンミラートータルステーションでの計測も行っている。
現場は斜度の急な谷であり、対岸からしか撮影をすることができない。また、現場は工事中で容易には立ち入れないため、レーザー距離計で対岸撮影位置から現場(工事済み法枠中央部)までの距離を計測(約500m)し、これを基準長とした。
撮影は対岸の道路に沿って移動しながら合計7ヶ所から行った。撮影に要した時間は40分であった。
【携帯設備】 |
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カメラ NIKON COOLPIX990・・・・・1台 |
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三脚・・・・・1脚 |
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携帯レーザー距離計 NIKONレーザー800・・・・・1台 |
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処理用ノートパソコン・・・・・1台 |
■計測処理作業
撮影終了後、直ちに車中にて計測処理を行った。
処理に要した時間は、以下の全ての作業を通して70分。
- 撮影した7枚の画像から適当なものを4枚(上の画像1~4)を選びKuraves-Kに取り込む。
- それぞれの一致点(対応点)を16点指定し、カメラ位置を計算した。
- 画像4を撮影したときの現場までの距離(レーザー距離計での計測結果)を入力し、これを基準長として全体のスケールを定めた。
- 現場工事事務所脇の電柱を垂直基準と見なし、鉛直軸を設定した。
- 画像1に約300点の計測点を設定し、自動計算させた。
- 誤対応点や三次元化できない点を検索機能で省き、崩壊個所の三次元モデルを作成した。
- 図面化ツール機能を用いて三次元モデル(図1)から縦断図(図2)や等高線(図3)を作成した。
図3 |
■結果
現場での作業は、ほとんど写真を撮影するだけで現地の詳細な情報が得られる点、メンテナンスフリーで手軽であり、特に技術を要しない点が、現場係官にも好評であった。
後日行われたノンミラートータルステーションでの測量結果と比較(下記)しても、500mに対して最大誤差約30cm(全スケール対比、約0.06%)と精度面でも十分な結果が得られている。
撮影開始から最終結果を得るまで、わずか2時間弱であり、即応性にも優れるものと考える。
トータルステーション |
点 |
X |
Y |
Z |
3 |
-15499.618 |
-70743.572 |
296.628 |
4 |
-15497.088 |
-70680.280 |
299.790 |
14 |
-15456.885 |
-70809.903 |
290.568 |
16 |
-15512.915 |
-70763.421 |
312.820 |
Kuraves-K |
点 |
X |
Y |
Z |
3 |
-15499.437 |
-70743.378 |
296.714 |
4 |
-15497.036 |
-70680.367 |
299.770 |
14 |
-15456.812 |
-70809.849 |
290.575 |
16 |
-15513.226 |
-70763.583 |
312.718 |
差 |
点 |
ΔX |
ΔY |
ΔZ |
3 |
-0.181 |
-0.194 |
-0.086 |
4 |
-0.053 |
0.086 |
-0.010 |
14 |
-0.072 |
-0.054 |
-0.077 |
16 |
0.311 |
0.162 |
0.102 |
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