近赤外分光法と中赤外分光法の共通の長所をあげると、
一方、近赤外分光法に限られた特徴を一つだけ挙げるとすると、やはりそれが禁制遷移を扱う分光法であるということになるでしょう。
近赤外分光法は禁制遷移(倍音、結合音)を扱う |
禁制遷移は弱い |
近赤外光は透過性に優れる |
非破壊分析、無侵食分析に適する |
というのが近赤外分光法の原理と特色の関係です。従って近赤外分光法は光路長をかなり自由に扱うことができ(中赤外域では一般に吸収が大きいので光路長を非常に短くする必要がある)、10mmや100mmのセルを使用することも可能です。従って特に水溶液での研究や分析では、中赤外域での分析に比べてはるかにバラエティーに富んだ溶液の測定が可能となります。またその他の試料においては、多くの場合試料をそのままの厚みや大きさで測定することが可能です。
このように、近赤外分光法と中赤外分光法の原理的な特徴を比較してみると、それぞれの長所や利用方法がはっきりと浮かび上がってきます。
それでは、これらの近赤外、中赤外分光が工業的用途で数多く用いられている液体成分計と膜厚計を次の2,3でお話ししましょう。
1. | 赤外線の話 |
1-1. | 赤外線とは |
1-2. | 近赤外・中赤外分光の原理 |
1-3. | 近赤外・中赤外分光の特色 |
2. | 液体成分計の話 |
2-1. | 測定原理 |
2-2. | 詳細な測定原理 |
2-3. | 無機電解質濃度測定への適用 |
2-4. | プロセス測定への工夫 |
3. | 赤外線膜厚計の話 |
3-1. | 赤外線膜厚計とは |
3-2. | 種々の膜厚計 |
3-3. | 赤外線膜厚計の優位性 |
3-4. | 赤外線膜厚計の測定原理 |
3-5. | 主な用途と特長 |
3-6. | 適用範囲の拡大 |
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