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ホーム >> 知識の部屋 >> 赤外線の話 (2-3.無機電解質濃度測定への適用)

赤外線の話

2.液体成分計の話

2-3.無機電解質濃度測定への適用

無機電解質のよい例として、水酸化ナトリウムや塩酸などがあげられます。これらは、分子というものが存在しません。水溶液中では、ナトリウムイオン(Na+)、水酸化イオン(OH-)、水素イオン(H+)、塩素イオン(Cl-)として存在します。つまり、これらの水溶液では、赤外線領域でも、近赤外線領域でも、分子振動由来の吸収スペクトルが存在しません。そのため、赤外線吸収スペクトルを使って、これらの溶質濃度は測定できないと従来は思われていました。


水溶液中のイオンは、単に水分子中に浮遊しているのではなく、周りの水分子と水和結合してクラスターを形成しています。例えば、塩素イオン(Cl-)はマイナスに荷電しているため、水分子の水素原子側が塩素イオンに配位します。イオンに配位している水分子は、自由なる水分子とは、ほんの少し振動パターンが異なり、近赤外線の吸収スペクトルが変化します。このわずかの変化をとらえることにより、溶けているイオンの種類と濃度を求めることができます。従来は、このスペクトル変化があまりにも微小であるため、有効に活用できる情報だと見なされなかったことと、各イオンの種類に応じたオリジナルなスペクトル変化があるという重大な知見が発見されていなかったため使用されていませんでした。


たとえば、液晶ディスプレイ製造工程でよく使われるリン酸・硝酸・酢酸の混酸の各濃度を測定することもできます。この混酸は、無機電解質であり、近赤外線領域には目立った特性吸収はありません。しかし、それぞれの酸の濃度に応じて、含まれている水のスペクトル形状が微妙に変化します。当社液体成分計は、この変化を正確にとらえ、あらかじめ作成された検量線データから無機電解質の成分濃度測定を行うことができます。




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