近赤外線は、800nm~2500nmの波長帯のことを指します。この領域は、各種の分子振動の高次振動とか、結合振動が現れており、複雑ですが、分子の情報を的確に表すスペクトルを示します。それらは、主にOH基、CH基の振動吸収で構成されています。
当社の液体成分計は、この近赤外線の800~1400nmを利用しています。これは、液体中を光が透過する距離が、この波長では10mm程度で、装置として扱いやすいためであることと、スペクトルの濃度に対する変化率が一番大きく、多彩であるためです。(ちなみに中赤外線領域の場合は、セル長がミクロン領域となり取り扱いが困難です。)
しかし、短所もあります。それは、分子振動の高次振動であることから、吸収バンド幅が広く、また他の吸収バンドとオーバラップが激しいということと、中赤外線の特性吸収は、鋭いスペクトル形状をしているため、ある成分に関係したひとつの波長と、比較波長としてその近傍を測定すればよいのですが、近赤外線バンドのオーバラップが大きいため、そのような単純な波長値測定だけでは濃度定量できないという問題です。
クラボウの液体成分計は、そのため、8個の波長を使用して多波長による多変量解析で成分を測定しています。8波長の分光方法は、干渉フィルタというバンドパスフィルタを使用しています。波長の選定は測定サンプル系に依存しており、つぎのような基準で以下の基準で総合的に決定しています。
1. | 赤外線の話 |
1-1. | 赤外線とは |
1-2. | 近赤外・中赤外分光の原理 |
1-3. | 近赤外・中赤外分光の特色 |
2. | 液体成分計の話 |
2-1. | 測定原理 |
2-2. | 詳細な測定原理 |
2-3. | 無機電解質濃度測定への適用 |
2-4. | プロセス測定への工夫 |
3. | 赤外線膜厚計の話 |
3-1. | 赤外線膜厚計とは |
3-2. | 種々の膜厚計 |
3-3. | 赤外線膜厚計の優位性 |
3-4. | 赤外線膜厚計の測定原理 |
3-5. | 主な用途と特長 |
3-6. | 適用範囲の拡大 |
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