ニュース

製品・技術
2021年9月1日

産地間連携で繊維素材のアップサイクルを推進 ~アップサイクルシステム「L∞PLUS(ループラス)」で国内循環型社会の実現を目指す~

クラボウ(資本金 220億円、本社 大阪市中央区、社長 藤田晴哉)繊維事業部は、今治タオル工業組合、奈良県靴下工業協同組合と連携し、当社のアップサイクルシステム「LPLUS(ループラス)」(注1)を活用したサステナブルな取り組みを推進します。各繊維産地と、産地間連携も含めた循環型の素材開発を行うことで新しい価値を創出し、国内繊維業界全体の循環型社会実現と新しいビジネスモデルの構築を目指します。

looplus_diagram.png

1.取り組みの背景

世界的にSDGsを始めとする社会課題解決型の様々な取り組みが進む中、国内の繊維業界では、大手アパレル企業を中心にサステナブル素材を活用した商品企画などが始まっていますが、繊維関連企業が集まる全国の繊維産地ではサステナブル素材の活用が進んでいないのが実情です。

また、繊維産地の各企業から発生する残糸などの様々な端材については、廃棄量削減や有効活用なども課題としてあり、各繊維産地とのパイプが太い当社へ再生素材の開発やリサイクルなどに関する問い合わせが増えていました。

これらのニーズに対応する一つの手段として、サステナブルなモノづくりを検討していた今治タオル産地のメーカーが、当社のアップサイクルシステム「L∞PLUS」を活用した取り組みを開始する中、今治タオル工業組合からも賛同が得られ産地全体でアップサイクルに取り組むこととなりました。また、靴下産地の奈良県靴下工業協同組合からも組合内に留まらず今治タオル工業組合との産地間連携の取り組みに賛同をいただけたことから、アップサイクルシステム「LPLUS」を基軸に国内の主要な繊維産地間が相互に連携を行い、循環型のサステナブル素材の開発など新しい価値の創出と新しいビジネスモデルの構築を目指すこととなりました。

2.アップサイクルシステム「L∞PLUS」の活用について

今治タオル工業組合および奈良県靴下工業協同組合から回収された端材を、当社の安城工場にて独自の開繊・反毛技術を用いた「L∞PLUS」のアップサイクル原糸として産地へ供給し、各組合の加盟企業で製品に使用していただきます。通常であれば廃棄される端材を再資源化し、リユースするため地球環境にも優しく、アップサイクル原料の調達ルートなどのトレーサビリティも明確なサステナブル素材の提供が可能となります。
また、今回の取り組みにおいては、個別の繊維産地内の循環型の取り組みだけでなく産地間の連携も進んでいます。繊維産地全体としてサステナブル素材を活用するきっかけをつくるとともに、産地間の連携を図ることで新しいコンセプトのモノづくりにも展開していきます。すでに今治タオル工業組合から回収した端材をアップサイクルし、奈良県靴下工業協同組合へ原糸を供給する取り組みを試験的に始めており、例えば「今治タオル産地の端材からアップサイクルした奈良靴下」などのコンセプトで新しい商品、新しい取り組みにも発展するアップサイクルシステムとして「L∞PLUS」をさらに進化させていきます。

looplus_sanchi_diagram.png
imabari_towel.jpg

今治タオル産地の端材でアップサイクルした今治タオル

nara_socks.jpg

今治タオル産地の端材でアップサイクルした奈良靴下

3.今後の展開

今治タオル工業組合および奈良県靴下工業協同組合それぞれと各組合の要望に応じた原糸開発を進め、端材回収から「L∞PLUS」のアップサイクル原糸生産までの体制を確立するとともに、産地間の連携も進め、アップサイクル原糸の相互利用、新しい商品開発の実現を目指します。また、他の産地からの参画を募り、連携する組合の拡大を図ることで繊維産地全体の活性化を目指します。さらに、展示会などの販促を通じて、アパレルおよび小売り各社のサステナビリティに対する市場ニーズを掘り起こし、素材開発から販売までの「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」を実現するビジネスモデルを構築してまいります。

4.お問い合わせ先

クラボウ 〒541-8581 大阪市中央区久太郎町2-4-31
■報道に関するお問い合わせ
総務部 広報グループ 担当:山崎・村田  TEL:06-6266-5076
■製品・取り組みに関するお問い合わせ
繊維事業部 繊維素材課 担当:小林 TEL:06-6266-5236


以上

(注) アップサイクルシステム「L∞PLUS(ループラス)」
繊維製品の生産工程で発生する端材をクラボウ独自の開繊・反毛技術で再資源化し、様々な製品へとアップサイクルする取り組みで、2017年から展開している。様々な端材を混ぜ合わせるため、唯一無二の杢調を表現できる新しいエコファッション素材で、デニム素材をはじめ、ニット素材などへ広がっている。廃棄物の削減、有効活用で環境配慮、社会課題解決に貢献でき、クラボウ単独ではなく様々な企業との共創ビジネスとして繊維業界全体で取り組むことで、サステナブルなモノづくりや循環型社会の実現を目指している。
http://www.looplus-kurabo.com/

(ご参考)
■今治タオル工業組合 
名  称:今治タオル工業組合
設  立:1952年11月1日
出 資 金:1億1,864万円
代 表 者:理事長 正岡裕志 
所 在 地:愛媛県今治市
組合員数:101事業所 *2021年8月現在
事業内容:・タオル製造業に関する指導及び教育
     ・タオル製造業に関する情報又は資料の収集及び提供
     ・タオル製造業に関する調査研究
     ・組合員のために行う組合ブランド推進事業
     ・共同購買事業、共同金融事業他

■奈良県靴下工業協同組合
名  称:奈良県靴下工業協同組合
設  立:1950年8月28日
出 資 金:2,110万円
代 表 者:理事長 堀田和彦 
所 在 地:奈良県大和高田市
組合員数:121事業所 *2021年4月現在
事業内容:・組合員の取り扱う製品の共同販売
     ・組合員の取り扱う製品の市場開拓
     ・組合員の事業に関する調査研究
     ・組合員の事業に関する経営及び技術の改善向上又は組合事業に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供