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2021年10月25日

5Gスマートフォンなどに使われる超小型コネクタの締結作業を自動化するロボットシステムを開発、受注開始 ~モバイル機器の小型化に対応し、製造現場の省人化や生産性向上を実現~

クラボウ(資本金 220億円、本社 大阪市中央区、社長 藤田晴哉)環境メカトロニクス事業部は、当社KURASENSE(クラセンス)のロボット用高速3Dビジョンセンサーを用いた「基板対基板コネクタ(注1)締結ロボットシステム」を開発し、このたび受注を開始いたしました。本システムにより、従来はロボットへの置き換えが困難であった、スマートフォン、ゲーム機、タブレット、ノートパソコンなどの電子機器の組立て製造工程における、基板対基板コネクタの締結作業が自動化できるようになり、人手不足問題の解消や生産性・品質向上に貢献するとともに、コロナ禍でニーズの高まる製造現場での非接触も実現します。本年10月27日~29日に東京ビッグサイトで開催される「JPCA Show 2021」(注2)の当社ブースで本システムを展示します。

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 KURASENSE 基板対基板コネクタ締結ロボットシステム



<コラム>基板対基板コネクタとは?

『コネクタ』といえばケーブルの先端に付いた四角い形状で横から差し込むタイプが一般的ですが、基板対基板コネクタは電子基板同士を上下に直接締結できる超小型・薄型のコネクタです。小さなものは、奥行き2mmx幅5mmと米粒ほどのサイズで、厚みはわずか0.5~0.6mmとシャープペンシルの芯程度。その上に40本あまりのピンが並び、位置を合わせて基板側のコネクタにはめ込みます。例えばスマートフォン1台につき、大小合わせて10ヶ所以上使われています。
基板対基板コネクタには、基板全体のサイズ抑制や部品点数の削減、高速伝送対応などのメリットがあり、機器の小型化や高性能化には欠かせない部品です。5G対応で増える機器のアンテナ配線などにも使用され、市場規模が大きく今後も高い成長率が予測されるスマートフォンやウェアラブル端末などの製造において、大きな需要が見込まれます。

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左:一般的なコネクタ(ヒロセ電機 ZE05シリーズ) 右:基板対基板コネクタ(ヒロセ電機 BK13Cシリーズ)



2.ロボットシステムの概要
本システムは、当社製の3Dビジョンセンサーと専用ハンド、セイコーエプソン株式会社製の垂直多関節ロボット、力覚センサー、位置決め補正用カメラで構成されています。3Dビジョンセンサーが、様々な角度で搬送されるケーブルの先端にある基板対基板コネクタを瞬時に三次元計測・認識し、把持位置と姿勢の指示を受けたロボットが正確に先端を把持します。コネクタには製造時に発生するわずかな位置ずれがありますが、補正カメラがこのばらつきを補正し吸収したのち、オス側とメス側を嵌合してコネクタを締結します。
基板対基板コネクタは、手作業ではオス・メスがずれた状態で嵌合されるケースがあり、コネクタ潰れや半嵌合など機器の動作不良の原因に繋がります。本システムは、正常に「カチッ」とはまる感覚を力覚センサーで判断するため、コネクタの半嵌合(不完全な締結)や嵌合ずれを検知し、導通不良などの機能欠陥を防いで機器の信頼性と品質を向上します。

【主な特長】

特長1:高速動作
1ヶ所あたり、最速10秒で締結作業が完了。手作業における作業時間(約15秒)と同等以上のラインタクトを実現。

特長2:正確な締結確認
補正カメラで基板位置(メス側)、実装位置(オス側)のずれをそれぞれ補正。力覚センサーが「カチッ」とはまる感覚を判断し適正な嵌合を判定。これらにより基板対基板コネクタの嵌合不良を検知。

特長3:3Dモデル登録が不要
KURASENSE独自のアルゴリズムにより、従来のようなパターンマッチングやCADの3Dモデル登録が不要。



3.グループのシナジーについて
本システムは、本年2月に当社のグループ会社となったFA設備メーカーである株式会社セイキ(以下 セイキ)との連携により当社グループ内で一貫生産します。当社がロボットシステムを製作し、セイキが搬送装置や制御盤など周辺機器をセットアップします。セイキは、自動車部品製造など高い精度が求められる製造ラインに対応できる技術力を有しており、両社のシナジー効果により先進性と高い品質を兼ね備えたロボットシステムを実現します。


4.販売価格
システム販売価格 2,200万円~(税込) ※仕様やシステム構成については別途お問い合わせください
【最小システム構成例】
・ケーブル認識用高速3Dビジョンセンサー Kurasense-C100:1台
・KURASENSEロボットハンド:1台
・産業用ロボット:1台
・力覚センサー、位置決め補正用カメラ:一式
・安全柵、ワークローダー/アンローダーなど:一式


5.販売目標
2024年度:10億円  ※ロボットビジョンセンサー単体およびシステム販売全体での目標値


6.今後の展開
スマートフォンなど電子機器の組立工程は精緻な作業が多いため自動化が進んでおらず、現在は1ラインに数十名の作業員が並んで流れ作業を行っているケースもあります。今回の基板対基板コネクタ締結作業の自動化ソリューションを皮切りに、今後は基板上の配線作業や多種多様なコネクタの締結作業など自動化の幅を広げ、将来的には各分野の組立工程全体の自動化システムの構築を目指します。


7.お問い合わせ先
■報道に関するお問い合わせ
総務部 広報グループ 担当:本多  TEL: 06-6266-5071
〒541-8581 大阪市中央区久太郎町2-4-31 
■製品・販売に関するお問い合わせ
環境メカトロニクス事業部 情報機器システム部 担当:北井  TEL: 072-812-5206
〒572-0823 大阪府寝屋川市下木田町14-30 
KURASENSE製品サイト https://www.kurabo.co.jp/el/kurasense/



(注1)電子基板同士を上下に直接締結できる超小型・薄型のコネクタ。上記に説明コラムあり。
(注2)JPCA Show 2021 公式サイト:https://www.jpcashow.com/show2021/index.html
    会場:東京ビッグサイト南展示棟  当社ブース番号:1E-01