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JR東海と「軌道材料モニタリングシステム」を共同開発
~国内初!東海道新幹線の高速走行中に軌道材料の状態を計測~
クラボウ(資本金 220億円、本社 大阪市中央区、社長 藤田 晴哉)環境メカトロニクス事業部は、東海旅客鉄道株式会社(資本金 1,120億円、本社 愛知県名古屋市、社長 丹羽 俊介、以下JR東海)と共同で、東海道新幹線の軌道を構成する材料の計測を高速走行中に行う国内初のシステム「軌道材料モニタリングシステム」を開発しました。今後は実用化に向けた検証および、さらなる精度向上を行い、JR東海では2027年以降の実用開始を見込むとともに、クラボウでは在来線や私鉄などへの導入も目指してまいります。
■東海道新幹線(N700S) ※JR東海提供
1.取り組みの背景
鉄道業界では、日々の安全・安定輸送を確保するために行っているレールやまくらぎ、締結ボルト、道床バラスト等の軌道材料の点検を係員が徒歩で全線を移動しながら目視や計測器具を用いて行うため、多くの労力と時間が必要とされており、今後の労働力人口の減少を見据え、業務の効率化や省人化が急務となっています。クラボウでは、コア技術の一つである高速画像処理技術を活用し、時速100㎞の走行でも高速道路の路面を正確に検査できる路面性状検査システム「PG-4」(注)を鉄道軌道材料の計測にも応用するべくシステム開発に取り組んでまいりました。
そのような中、クラボウはJR東海と共同で、東海道新幹線の軌道材料を列車が走行中に計測できるシステムの開発に取り組むこととなりました。JR東海がこれまで培った新幹線の軌道計測技術やノウハウとクラボウが「PG-4」で培った高速画像処理技術を組み合わせ、さらに、高精細カメラの精度や解析システムのさらなる高度化に取り組んだことにより、この度、時速300㎞でも軌道材料の状態を正確に計測できる「軌道材料モニタリングシステム」が完成しました。
2.システムの詳細
(1)概要
東海道新幹線車両の床下に設置したプロファイルセンサとラインセンサカメラによって取得したデータを、クラボウ独自の軌道材料判定ソフト「Track Analyzer」によって解析し、締結ボルト、まくらぎ、道床バラスト等の軌道材料の状態をリアルタイムで解析することができます。
本システムをJR東海の試験車両に搭載し、東海道新幹線の線路で試験測定を実施した結果、時速300㎞でも目視と同等以上のレベルで測定できることが確認できました。
(2)特長
①軌道材料の高さの変化が確認できる
プロファイルセンサで撮影することにより、高低差を色で識別できるため、締結ボルトやまくらぎ、道床バラストなどの高さの変化を確認することが可能です。
②軌道材料の詳細な状態が確認できる
ラインセンサカメラで高精細の画像を撮影することにより、軌道材料の状態を詳細かつ正確に把握することが可能です。
③大容量の画像をスピーディーに解析できる
クラボウが独自開発した軌道材料判定ソフト「Track Analyzer」により、ボルト、まくらぎ等の締結装置、道床バラストなどの変状を自動判定します。撮影した大容量の画像データをコア技術である高速画像処理技術を用いて、ストレスなくスピーディーに解析することが可能です。
3.今後の展望とスケジュールについて
JR東海は本システムを活用することで、東海道新幹線の営業運転中に軌道材料の状態を計測することが可能となります。これにより、今後は係員による現地での点検回数が少なくなり、またタイムリーにメンテナンス作業が実施できるなど、線路設備の管理に関わる業務の効率化を図ることができます。
今後もJR東海とクラボウは本システムに関する技術開発を継続し、その精度や耐久性を高め、2027年以降に見込んでいる実運用開始に向け、本システムのさらなる精度向上に努めてまいります。
なお、クラボウはこの共同開発で培った計測技術を活かし、JR東海エリアの在来線においても、本システムの導入を図ってまいります。将来は日本のみならず、海外の鉄道会社における高速鉄道車両へのシステム導入も視野に入れています。
また、クラボウは今後も肉眼では捉えることが出来ない一瞬の現象を鮮明に撮影することが出来る「視る」技術を、より高精度に観察し、正常・異常を診断する「観る」、「診る」技術へと深化させ、インフラ分野だけではなく、ロボット分野でのオートメーションなどの効率化、省人化に貢献してまいります。
4.お問い合わせ先
クラボウ
総務部 コーポレートコミュニケーション課 (担当)野中
TEL:06-6266-5053 FAX:06-6266-5555 E-mail:pr_grp@kurabo-grp.com
クラボウ コーポレートサイト https://www.kurabo.co.jp/
以上
(注) 路面性状検査システム「PG-4」について
クラボウ独自の画像認識技術と高速大容量画像ハンドリング技術を活用し、高精細カメラで撮影した画像から、道路の劣化箇所を正確に素早く検出できるシステムです。レーザーとカメラがコンパクトなユニットになっており、一般車両にも簡単に取り付けできるようにしたことで、時速100kmで走行しながら検査をすることが可能。検査時の車線規制の必要もなく、作業時間とコストが圧縮でき、効率よく路面検査が行えます。2017年3月に販売を開始し、現在では国内外における道路検査などで多く活用されています。
■クラボウ 路面性状検査システム「PG-4」Webサイト https://www.kurabo.co.jp/el/infrastructure/road/