膜厚を精度良く測定するには測定対象物から膜厚情報を持った光をいかに効率的に集光するかが重要になります。
例として図8に金属上のコートに対する各種の光の概念を示します。ここで膜厚情報を持った光は金属板(基材)で反射した正反射光や四方に飛ぶ拡散反射光です。下地が鏡面であれば正反射光が多く、粗面であれば拡散反射光が多くなります。したがって、誤差要因となる表面反射光や内部多重反射光を避け、正反射光あるいは拡散反射光の情報を持った光をいかに効率的に捉えることができるかが重要なポイントになります。そのため測定対象物の表面形状や基材に応じて種々の方式の赤外線式膜厚計が使い分けられています。また、赤外線を用いた計測機器は設計の自由度が高いこともあり、各社独自の設計思想に基づいて種々の機種を上市しています。
図8 情報をもった光の概念
ここでは赤外線膜厚計を三種の方式に分類してみましょう。
●拡散反射型(主に紙や布、不透明フィルム・粗面の金属上の塗工量等、図4参照)
透明フィルムなどの透過サンプルの膜厚を測定する場合は、サンプルの反対側に反射板を設置することによっても測定が可能です。拡散反射型赤外線膜厚計は設置の工夫により非常に広範囲の用途に適応できる機種と言えるでしょう。
しかし、拡散反射型は微弱光を捕らえているために、広範囲な用途に適応できても一般的に分解能が劣ります。
●透過型(主に透明フィルムや透明フィルム上の塗工量等、図9参照)
図9 一般的な透過型赤外線膜厚計
●正反射型(主に金属上の塗工量等、図8右参照)
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