私たちの周りにあるものは、ほとんどのものが、何らかの色を持っています。木の葉が緑に見えるのはなぜでしょうか?
物の色が私たちに見える、色が認識されるということは、次の三つの要素によっています。 |
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図1 色の知覚 |
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光は電磁波の一種で、電磁波は波長域ごとに短い方からそれぞれガンマ線・X線・紫外線・可視光線赤外線・電波などと区別して呼ばれています。
身近なところでは、X線はレントゲン写真に、電波はテレビやラジオそして携帯電話で使用されています。また、赤外線は『赤外線の話』で紹介するようにいろいろな分析に使われています。
このうち私たちの目に感じる電磁波はその名のとおり可視光線で、その波長域は380~780nm(ナノメータ:1mの10億分の1)です。 |
図2 電磁波と可視光線 |
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可視光線は図2のように各波長特有の色(光の色)を持っています。太陽光のように可視波長域全体に連続したエネルギーを持つ光を白色光といいます。
太陽光下で木の葉が緑に見えるというのは、図1のように
- 太陽から発した白色光が木の葉にあたり、
- 木の葉か持つ色素に白色光の一部が吸収され、また一部が反射され、
- 反射された光が私たちの目に入り、脳に色として知覚される。
言い替えれば、木の葉が緑の色素を持っていると、緑の補色にあたる赤色の光を吸収します。すると反射されて私たちの目に入る色は、白色光から赤成分か少なくなったもの、つまり緑色の光になるというわけです。このようにして私たちの目に入る光が生成されます。 |
図3 反射光のできるまで |
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このメカニズムを科学的な表現に直すと、光源の光の波長毎のエネルギーを「光源の分光分布」とよび、S(λ) という記号で表されます。また、物体の光をはねかえす性質を「分光立体角反射率(単に反射率ともいう)」とよび、R(λ)
という記号で表されます。
このS(λ)とR(λ)を各波長毎に掛け合わせると、反射光となりS(λ)・R(λ)という記号で表されます。
一方、目に入った光は、目の網膜細胞にあたり、網膜細胞が出した信号(刺激)が脳に伝わり(興奮)、緑と感じるのです。実際の色の知覚は、網膜にある赤・緑・青(いわゆるRGBではないので注意)の3種類の光に反応する細胞が出した刺激に脳が反応して成り立つと考えられています。 |
図4 目に入った色 |
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赤・緑・青の刺激によって起こる興奮を、三刺激値とよび、X(λ) ・Y(λ) ・Z(λ) いう記号で表されます。このXYZを求めるには、等色者関数が必要になります。等色者関数とは光の波長毎に赤・緑・青の刺激をどれくらい感じるか実験によって求めた値です。これらの関係は図5のようになります。 |
図5 等色関数 |
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この中のx(λ) 関数は、各波長による赤みと感じる度合いを表し、同様に y(λ) ・z(λ) 関数は、各波長における青み・緑みと感じる度合いを表しています。つまり、赤・青・緑の刺激の度合いは、感応できる各波長間の刺激の積算であると考えることができ、目に入る反射光の値と等色関数が分かれば得られる刺激の強さX・Y・Z値が求められます。
現在、使用されている全ての表色値・色差値はこの三刺激値が基本となっており、色の分布・色差の度合いを人間の感覚と合わせるため、各種の試行を行っています。
詳しくは、「1.3.色の表し方」で詳しく説明します。
下記に、物体色の三刺激値を求める式を記します。 |
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